NATO報道官などは22日、海賊事件が多発するアフリカ東部、ソマリア沖に派遣したNATO軍用船7隻が数日中に貨物船護衛の任務を開始すると述べた。AP通信が報じた。
ソマリアへ食糧支援を実施する世界食糧計画(WFP)の船舶を警備、海賊多発海域で警戒を強化する。派遣された艦船は、イタリアと米国の駆逐艦、ドイツ、ギリシャ、トルコ、英国のフリゲート艦にドイツの補助艦。
7隻は現在、交戦規定など任務遂行に必要な調整作業を行っているが、2日間内に終了する見通し。NATO軍艦船の派遣は、国連安全保障理事会が10月初旬、海賊行為を非難し、関係国に軍による積極的な取り締まりを求める決議を全会一致で採択したことを受けた。
国際海事局の国際海賊情報センター(本部クアラルンプール)によると、ソマリア沖で今年これまで起きた海賊事件は計74件。うち、30隻が乗っ取られ、10隻は依然、海賊の手中にある。拉致されている乗組員は約200人。
9月には、旧ソ連の戦車や砲弾、小火器を積載しているウクライナの貨物船が乗っ取られ、身代金を要求する海賊と解放交渉が続いている。兵器がソマリアのイスラム反政府武装勢力の手に落ちることを警戒する米海軍艦船が付近で監視を続けている。