米軍によるパキスタン・アフガン国境への空爆で、パキスタン治安部隊の兵士ら11人が死亡したとされる問題で、米軍とパキスタン側の主張が食い違い、情報が錯綜していると言う。
問題の空爆は、米空軍が10日に実施。パキスタン治安部隊によると、この攻撃で国境付近の検問所が破壊され、兵士らが死亡したとされる。同国政府は空爆を「一方的で卑劣な行為」と非難し、米大使を呼んで抗議した。
これに対し米軍は、攻撃の標的は国境付近でアフガン駐留連合軍と交戦していた武装勢力だったと説明。空爆現場上空から無人偵察機が撮影した映像を公開した。映像中の説明によると、現場周辺に治安部隊の施設や検問所はなく、精密誘導爆弾で「反アフガン勢力」のメンバー7人が死亡したとされる。
ただ、国防総省は12日になって、公開された映像だけでは全体を把握できない恐れがあると認めた。空爆に関する報告文書によれば、爆弾は野外の標的だけでなく、建物にも命中した可能性があるという。
米軍は、アフガン側で待ち伏せ攻撃を仕掛けていた武装勢力がパキスタン側へ逃亡したため、合法的な自衛手段として空爆を行ったと主張。しかしパキスタン治安部隊は、国境付近で武装勢力と交戦したアフガン軍からの要請を受けて、米軍が出動したとの見方を示している。治安部隊報道官によれば、死亡した11人の中には軍将校も含まれ、さらに7人が負傷したと言う。