匿名の米軍幹部らによると、国際テロ組織アルカイダ系のイラク過激派が、バグダッド市内の精神病院から情報提供を受け、自爆テロ攻撃の実行犯として女性患者を利用しているとの疑惑が浮上していると言う。
今月初め、同市内のペット市場で起きた自爆テロでは、犯人の女性が精神病と診断されていた事が明らかになった。
同幹部によると、米軍は、過激派組織のメンバーが市内2カ所の病院に職員として潜入し、患者のカルテや連絡先などの情報を組織に流しているとの見方を強めている。
疑惑のきっかけとなったのは、100人近い死者を出した1日の自爆テロ。
米、イラク両当局の調べによると、自爆犯の女性2人のうち、1人は35歳の既婚女性で、市内の精神病院で統合失調症とうつ病の診断を受け、昨年末から事件直前の1月末にかけて電気ショックによる治療を受けていた。「頭の中の声が、自殺しろと命令する」などと訴えていたとされる。
またイラク当局は、自爆犯が2人ともダウン症で、知的障害があったとも述べている。
2人が犯行の意味を理解していたかどうかは明らかでなく、爆発が遠隔操作だったかどうかについても意見が分かれていると言う。
米軍報道官によると、同事件の捜査の一環として、精神病院の事務長代理が拘束され、患者の情報を過激派に渡していなかったかどうかなどについて取り調べを受けている。
この病院の前院長は昨年12月に銃撃を受けて死亡した。アルカイダ系過激派への協力を拒否したために狙われたとされる。