ケニアのキバキ大統領と対立する野党「オレンジ民主運動」のムガベ・ウェレ議員が射殺された事件を受け、アナン前国連事務総長は29日、ケニア政府に対して、民間人の保護対策など事態沈静化に務めるよう呼びかけたとの事。
ケニアでは昨年暮れの大統領選の結果をめぐって与野党の対立が悪化し、何百人もの死者が出るなど情勢が深刻化している。与野党の和解を目指して同国に滞在中のアナン氏は、キバキ大統領やオレンジ民主運動のオディンガ氏との会談に先立ち、議会で演説。
「ケニアは長年政情が安定し平和な国だったが、今や無実の男女や子どもが追跡され殺されている」と述べ、同国指導者らに「混乱への急速な悪化」を阻止するよう促した。アナン氏はまた、部族にこだわらず同じケニア人として、人権や尊厳を尊重する必要性を強調。
こうしたなか首都ナイロビでは、議員射殺を受けて抗議行動を実施していたデモ隊と警官隊が衝突した。国内第3の都市で、オレンジ民主運動の拠点であるキスムでも100人規模の抗議デモがあり、国営ケニア放送協会によると、警官隊が催涙ガスなどでデモ隊を解散させた。
米国務省は、暴動に関与したケニア政府のメンバーや野党関係者に対し、ビザ発給や渡航禁止などの制裁措置を検討している。ライス米国務長官は29日、ケニア情勢への懸念を示し、解決策について近くアナン氏と協議する意向を表明。