2001年の米同時多発テロで崩壊したニューヨークの世界貿易センタービル跡地「グラウンド・ゼロ」近くにイスラム礼拝所(モスク)を含む施設の建設が計画され、全米で議論を呼んでいる問題で、ニューヨーク市内では22日、賛成、反対の両派がそれぞれ数百人規模のデモを展開した。
警察の推計によると、参加者は賛成派が約250人、反対派が約450人。
反対派は「同時テロ被害者の尊厳を守れ」などと書いた横断幕を掲げ、デモの最後に世界貿易センター跡地近くを行進した。参加者は「市内の他の場所なら反対しないが、ここは現場に近すぎる」「テロリストの温床になる」と口々に語った。
これに対して、賛成派は信教の自由を主張。参加者は「同時テロで家族を失ったイスラム教徒も多い。かれらが現場を訪れた時、近くに祈る場所があってもいい」「移転を要求して偏見や不寛容を示せば、米国の安全が脅かされる。開かれた社会であることを世界に示すべき」などと話した。
モスクの建設予定地を別の場所に移す案も出ているが、プロジェクトを率いるデイジー・カーン氏は同日、移転は当面考えていないと表明。「主要な利害関係者全員」と協議したうえで、慎重に対応すると述べた。