スペイン南部コルドバで、観光名所でもあるコルドバ大聖堂をキリスト教の礼拝だけでなくイスラム教の礼拝にも使わせてほしいと求める運動が起きている。
コルドバ大聖堂はかつてモスク(イスラム礼拝所)として使われていたが、キリスト教勢力が13世紀にコルドバを制圧して以降はキリスト教の聖堂となった。イスラム礼拝堂だった場所にはキリスト像が飾られ、カトリックのミサが毎日開かれる。
しかしイスラム教信者にとって同聖堂は、イスラム黄金時代の象徴として今でも重要な場所。イスラム教の神聖な祈りの場である「ミフラーブ」も敷地内の別の場所に現存し、大勢の観光客が訪れる。かつてここがモスクだったころは、1つ屋根の下でキリスト教とイスラム教の信者が祈りを捧げていたという。
イスラム教信者たちはこの伝統を取り戻す運動を展開し、4月には100人以上の信者が敷地内で祈りを捧げるデモ活動を実施した。これを排除しようとする警備員ともみ合いになって2人が逮捕された。
運動を率いるマンスール・エスクデロさんは「異なる宗教の人たちが共に生きるのは、イスラム教徒にとってでなく、人類にとって重要なことだと思う」と話す。
一方、コルドバのフェルナンデス司教は4月の事件を引き合いに、礼拝場所の共有は不可能だとの姿勢を崩していない。
スペインには人口の2%強にあたる約100万人のイスラム教信者がいるという。