北朝鮮の朝鮮中央通信は12日、北朝鮮の科学者が核融合反応の技術に成功したと報じた。朝鮮労働党機関紙、労働新聞の記事を引用して伝えた。同紙は核融合反応について「人工太陽の技術」と形容、人類が望んでいた新たなエネルギーの開発であるとも報じた。
故金日成(キム・イルソン)主席の誕生日に当たる今年4月15日に成功したとしている。どのような施設で成功したのかは不明。
太陽や星のエネルギー源といわれる核融合反応は核開発技術の究極的な目標とされ、長期的に安価なエネルギー源となるため、世界でも研究が進められている。ただ、この技術開発で安定した成果を獲得した国はないのが実情となっている。核融合は水爆のエネルギー源にもなる。
核融合反応の成功が事実なら、北朝鮮にとっては極めて大きな成功ともなるが、韓国の安全保障問題の専門家は成功を伝えたのが労働新聞である点に注目し、北朝鮮の現体制強化を狙った報道の可能性があると指摘。技術的な成果に関する報道は割り引いて受け止めた方が良いとの見方を示した。
また、世界の紛争解決策を研究、提言する非政府組織「国際危機グループ」(ICG)の韓国代表は、北朝鮮が核融合反応技術で世界の核大国に先駆けて成果を挙げるとは考えられないとも述べている。
北朝鮮は現在、核開発問題で米国などと厳しく対立、事態打開を目指す6者協議も停滞している。