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米国への麻薬密輸増加、メキシコのカルテルの活動拡大と報告書
  米司法省の国家麻薬情報センターは29日までに、国内の麻薬の脅威に関する09年版の報告書をまとめ、密輸の麻薬量が増加、処方せんを経た薬物利用の増加も悪化していると発表した。麻薬密輸量の増加は、メキシコの麻薬カルテルの米国内での活動拡大に起因しているとし、「米国民のほとんどがその脅威にさらられている」との危機感を表明した。

麻薬弊害による経済コストは年間、推定約2150億ドル(約20兆円)にも達するとしている。

メキシコの麻薬カルテルについては、米国に脅威を与える最大かつ唯一の密輸組織と断言。全米のすべての州に食い込み、最近は地方や郊外にも進出していると警告。米国の路上、刑務所内でも地元ギャングと結託し、麻薬密売を広げていると指摘した。

米国とメキシコの国境を通じて流入するヘロイン、マリフアナ、覚せい剤に使われるメタンフェタミンなどの量は最高記録を更新しており、今後もこの傾向は続くだろうと予測。ヘロインの純度が高まりながらも、末端価格が安くなっていることなどが要因としている。この結果、過剰吸引などが広がり、死亡者も増加していると指摘。メキシコ内のヘロイン生産は07年の17トンが08年には38トンに激増したとしている。

メタンフェタミン生産では、メキシコ政府は利用される化学物質の輸入を禁止するなどの対抗措置を打ち出しているが、同報告書は麻薬密輸組織は代替の化学物質を調達していると述べている。

メキシコのカルデロン大統領は06年から麻薬カルテル掃討を内政の重要課題と位置付け、軍兵士を各州に派遣、密輸組織対策、治安維持に当たらせている。しかし、麻薬カルテル間の抗争、治安当局への報復攻撃は絶えず、死亡者は増加の一途となっている。

オバマ大統領は、麻薬カルテル絡みの暴力事件が国境周辺で多発していることを受け、カルデロン大統領の作戦を支持、通信機器やヘリコプターなどを貸与するなどの側面援助を行っている。最近ではクリントン国務長官がメキシコを訪問、同国政府首脳と協議し、治安対策のほか、社会、経済開発の重要性で意見が一致していた。

司法省の報告書はまた、アジア系の犯罪組織によるカナダなどでの合成麻薬MDMAの生産、米国への密輸の脅威についても指摘。米国内ではアフリカ系(黒人)やヒスパニックでの利用が拡大していると述べた。
by sportsiroiro | 2010-03-29 21:57 | ニュース
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