タイ・バンコクの空港で昨年12月12日、給油のため到着したロシア製貨物機から大量の北朝鮮製兵器が見つかった事件でタイ政府当局者は11日、武器無許可所持などの容疑で逮捕していた乗組員5人の立件を見送り、国外退去処分にするとの方針を示した。
乗組員はカザフスタン人4人とベラルーシ人1人。タイ司法当局者はあくまで自国の国内法に従って捜査を進めたが、立件はタイの国益に沿わないと判断したと述べた。
押収した小火器、ロケット弾など約35トンの兵器については持ち主の返還要求を1年間待ち、名乗り出なかった場合、タイ政府と国防省の判断で処分すると述べた。
立件を見送った理由としては、北朝鮮制裁の国連安保理決議では兵器輸送の阻止を求めているが、輸送に当たった人物の処罰には触れていない点を指摘した。ただ、自国と無関係な複雑な事件に引きずり込まれたくないとの計算が働いたともみられる。
カザフスタン、ベラルーシ両国政府は独自の捜査を進めるため5人の身柄引き渡しを求めていた。
タイ政府が安保理の対北朝鮮制裁委員会に提出した報告書では、北朝鮮で積み込まれた兵器の最終目的地はイランだったとされる。