イランの核開発問題で、アフマディネジャド同国大統領は29日、欧米諸国と核協力を進める用意があると言明した。国営のプレスTVによると、北東部のマシャドで演説した。
イランがこれまで実施した低濃縮ウラン問題では、国連安全保障理事会常任理事国5カ国とドイツとの協議で、国外で濃縮、加工する案が浮上しているが、同大統領はこの計画をイランにとっての「勝利」とも形容。核開発問題で、欧米諸国はこれまでの対決路線から協調に転じたとも主張した。
アフマディネジャド氏の発言は、国外濃縮、加工計画の受諾を示唆したとも受け止められている。同計画をめぐっては、イランが29日にIAEAに回答する見通し。IAEAへの回答期限は当初23日だったが、イランは延期を通告していた。国内での意見調整が難航したためとみられていた。
国外濃縮、加工はテヘランの研究炉への燃料供給が目的。国内でこれまで蓄積した低濃縮ウラン約1.5トンのうち相当数を年内に搬出して、ロシアとフランスで濃縮、加工する内容とされている。欧米にとっては、核の軍事転用を防ぐ上で大きな意味を持つ。
6カ国は、イランが国外濃縮案に応じない場合、経済制裁の強化もちらつかせ圧力を掛けていた。