08年までアフガニスタンの首都カブール東郊サロビに展開していた伊軍部隊が、イスラム強硬派勢力タリバンに金を支払うことで部隊への攻撃を抑えていたとの疑惑を、15日付の英紙タイムズが伝えたと言う。ベルルスコーニ首相は同日、疑惑を「根拠なし」と強く否定する声明を出した。
同紙の記事は、イタリア軍からサロビの治安維持を引き継いだフランス軍部隊が、武装勢力による待ち伏せ攻撃などの激しさに「衝撃を受けた」としたうえで、「それまでイタリア軍が地元タリバーン勢力メンバーに金を支払って治安を維持していたことを、フランス軍は知らされていなかったためだ」と報じた。さらに同じ時期、米情報当局者らがイタリア軍による他地域での買収を示唆する会話を傍受し、米大使がイタリア政府に抗議したとも伝えている。
同紙によれば、サロビの引き継ぎが完了したのは08年夏。ベルルスコーニ首相は同年4月に首相に就任していた。
ベルルスコーニ首相の声明は「タリバーン勢力への支払いを承認または黙認したことはなく、(プロディ)前政権がそのような策を取っていたとも聞いていない」と主張。「その証拠に、イタリア軍部隊は08年前半、サロビなどで多数の攻撃を受けていた」と指摘した。
また仏軍の報道官も、「タイムズ紙の報道を裏付けるような情報は一切ない」と述べている。