パキスタン北西部にある政府直轄部族地域の南ワジリスタン地区に拠点がある「パキスタン・タリバン運動」の地区担当報道官は19日、死亡説が流れているベトゥラ・メスード司令官の副官が自らを司令官代行に任命したことを明らかにした。事実なら、司令官死亡を裏付ける材料ともなる。
メスード司令官は8月5日、潜伏先でCIAの無人武装偵察機のミサイル攻撃を受け、殺害されたとの見方が出ている。タリバーン関係者はこの情報について相反した判断を示しているが、パキスタン、米国政府当局者は死亡したとの立場で一致している。パキスタン政府は詳しいDNA鑑定を進め、結論を出す見通しだ。
米政府のアフガニスタン、パキスタン担当のホルブルック米特使は先に、パキスタン・タリバン運動が死亡を公式確認しないのは、後継者選出で内部闘争が起きているためとも指摘していた。
司令官代行を名乗っているのは、マウルビ・ファギル・モハンマド副官で「副官として代行を宣言する資格がある」と主張しているという。同副官はまた、17日に部族勢力に捕らわれたパキスタン・タリバン運動報道担当の後任者も指名したという。
政府直轄部族地域はタリバン系の聖域とされ、アフガニスタンへの越境攻撃の出撃拠点になっているともされる。CIAなどによる無人機攻撃も多発しており、パキスタン軍も米政府の圧力を受ける形でイスラム過激派掃討作戦に踏みきっている。