パキスタン北西辺境州などに拠点を築くイスラム強硬派勢力タリバン系組織に対する掃討作戦で、パキスタン軍は7日、スワート地区にあるタリバンの陣地に戦闘機、ヘリコプターによる空爆を実施したと言う。
地上部隊も進軍しているとみられる。パキスタン軍の報道担当によると、空爆などでタリバンの訓練、通信施設に損害を与えた。タリバン側の死傷者の有無などは不明。パキスタン政府はスワート地区の住民に避難を指示、数万人規模が既に逃げ出したとみられる。
同州の下ディール地区ではパキスタン軍の迫撃砲攻撃の直撃を受けた家屋の中にいたイスラム原理主義勢力の指導者の息子が死亡した。この息子はタリバン系とパキスタン政府が今年4月に結んだ、辺境州の一部地区を対象にした停戦合意の仕掛け人だったとされる。
パキスタン軍は4月下旬からタリバン掃討作戦に踏み切り、タリバンは停戦合意を破棄している。
01年末の米英主導の軍事作戦でアフガニスタンの政権を追われたタリバンは、北西辺境州などアフガンと国境を接するパキスタン領土内に拠点を構築。国際テロ組織アルカイダ系勢力と共にアフガンへの越境攻撃を重ね、パキスタン内でのテロ攻撃などにも関与している。
米政府は北西辺境州などがタリバンの「聖域」になっていることから、パキスタン政府に徹底掃討をたびたび要請。しかし、目立った成果がないことから、無人武装偵察機による越境ミサイル攻撃を加速させ、タリバンの構成員らの拠点をつぶしている