今年3月の大統領選、連立政権合意後も与野党間の権力闘争が続くアフリカ南部のジンバブエ情勢で、世界保健機関(WHO)は21日、今年8月~18日までの間、コレラで約300人が死亡したと発表した。
過去2週間で犠牲者が目立ち始め、発症例は6072件に達するという。長期の独裁政権を敷くムガベ大統領下での衛生保健施策の欠如などが要因とみられる。WHOによると、飲料水配給のインフラ面での悪化が著しいという。
また、超高率のインフレに襲われる経済崩壊を背景に、医療備品の欠乏や低月給で医者や看護師が職場を放棄する病院が相次ぎ、閉鎖の例もある。首都ハラレの4病院では新規の患者の受け入れを中止したという。
ジンバブエの最大野党・民主変革運動(MDC)と与党のジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)は大統領選後に対立が深刻化したが、連立政権の樹立で一応、合意していた。しかし、閣僚ポストの配分などをめぐって妥協は成立しておらず、連立政権崩壊の危機にも直面している。