アフガニスタン駐留米軍がパキスタン政府直轄部族地域などへの無人武装偵察機によるミサイル攻撃を多発させている問題で、パキスタン政府は29日、米大使を呼び、厳重な抗議を行うと共に攻撃の即時停止を要求したと言う。AP通信が伝えた。
パキスタン政府は攻撃が同国政府の主権を侵害していると批判。ギラニ首相が先に訪米、ブッシュ大統領と会談した際も停止を促していた。
米政府は越境攻撃の実施について確認を避けているが、パキスタン軍による北西辺境州などでのイスラム過激派対策が功を奏していない事にいら立ち、開始したものと受け止められている。米軍は、国際テロ組織アルカイダやアフガンの政権を追われたイスラム教強硬派勢力タリバンの残党や支持組織が北西辺境州で自由に活動、アフガンへの越境攻撃への拠点にしていると主張している。
パキスタン外務省の声明によると、同国政府はパターソン米大使に対し、ミサイル攻撃は住民の人命や財産の損失につながっているなどとする抗議を伝えた。
AP通信によると、米軍やCIAが今年8月半ば以降、北西辺境州で実施した無人機攻撃は少なくとも15回に達した。
米特殊部隊がヘリコプターで侵入、拠点を攻撃した例もある。タリバン司令官やアルカイダ系幹部が死亡した情報もあるが、住民の犠牲者も多く出ているとみられる。