01年の米軍事作戦で政権を追われたイスラム強硬派勢力タリバンの攻勢が目立つアフガニン情勢で、米国のゲーツ国防長官は8日、アフガン陸軍を5年で約5万人増やす計画を承認した。約170億ドル(約1兆8700億円)を投じる。AP通信が伝えた。
米国防総省報道官によると、アフガンのカルザイ政権の要請を踏まえた。同政府は2010年からの計画開始を望んでいる。兵士1万人の拡大に年間で約10億ドル、この兵力増強の維持などの関連経費に10万ドル掛かるという。
国防総省は170億ドルの財源ねん出の方途を検討しているが、アフガンで治安維持に当たるNATO主導の国際治安支援部隊(ISAF)に加わる加盟国の資金分担も視野に入れている。
アフガン陸軍の現有兵力は約6万5千人。国防総省は来年には8万人台にしたいとしている。
タリバンが自爆テロなど新たな手口を使って攻撃を拡大する中で、アフガン駐留米軍の司令官は、イラクで治安改善が進む中で増派を要求。アフガンでの米兵死亡者数がイラクでの数字を上回る徴候も出ている。ゲーツ長官はこれまでNATO加盟国にアフガン派遣部隊の増強を再三求めてきたが、反応は鈍い。
アフガン情勢は、米大統領選の争点にもなっており、民主党候補者指名を確定させたオバマ上院議員はアフガンを対テロ戦争の主戦場と位置付け、米軍増派の必要性を強調している。