アフリカ中部コンゴ共和国の湿地帯で、これまで知られていなかった推定12万5000頭ものニシローランドゴリラが生息する地域が新たに見付かったと、米国の野生生物保護協会(WCS)が5日、スコットランドで開催中の国際霊長類学会で発表した。
これが事実なら、絶滅の危機にさらされているゴリラの生息数を大きく上方修正する「聖地」の発見ともなっている。
ゴリラは赤道直下のアフリカに生息する類人猿。内戦などによる環境破壊や密猟のほか、エボラ出血熱の感染などで生息数が減少しており、絶滅の危機にさらされている。
1980年代に行われた調査で、ゴリラの生息数は全世界で10万頭と推定された。それ以降、生息数は半減し、現在は5万頭程度と考えられていた。
WCSの研究員ヒューゴ・ライニー氏らのグループは06年から07年にかけて、コンゴ共和国北部の湿地帯を調査。現地の目撃情報を元に最寄りの道路から湿地帯の中を約80キロ、数日かけて徒歩で移動し、多くのゴリラが生息する地域を発見した。
多くのニシローランドゴリラを目撃したライニー氏は「本当に驚きだった」と述べている。
ライニー氏は、「ここほど、ゴリラの生息密度が高い場所はほかにはない」と保護の重要性を指摘。コンゴ政府に働き掛けて、ゴリラ生息域を指定するさまざまな政策をとることが必要だと述べている。