ブッシュ大統領とイラクのマリキ首相は17日、テレビ会談を行い、イラクの国内治安情勢の好転などを受け駐留米軍の撤退の「時期に関する一般的な展望」を明示する事で合意した。ホワイトハウスが18日発表した。
両国で交渉中のイラク駐留米軍の将来の地位協定に盛り込む。ブッシュ政権はこれまで、反米の武装勢力に利するだけとして撤退日程の明示を一貫して拒んでおり、治安維持の進展を受けイラクの主権を主張し始めたマリキ首相に譲歩した格好ともなっている。
地位協定の交渉は、米軍駐留の現在の法的根拠となっている国連安保理決議が年末で効力を失うことを踏まえた措置で7月末までの締結を目指している。
AP通信によると、「展望」で示される具体的な目標時期は不明で、両国の思惑が交錯した玉虫色の設定となる可能性も大きい。両首脳は、イラクの治安情勢を踏まえない撤退期限やイラク側への治安権限の移譲時期を設定しない事でも意見が一致したという。
ただ、ブッシュ大統領の今回の合意は米大統領選の争点ともなっているイラク駐留米軍の撤退問題に影響を及ぼす可能性もある。
民主党候補指名を確定させたオバマ上院議員は、16カ月内の速やかな米軍撤退を公約。一方、共和党候補指名が確実なマケイン上院議員は撤退日程の明示に反対している。ブッシュ大統領が撤退時期の「展望」で譲歩したことはオバマ氏陣営を勢いづかせる可能性もある。