ミャンマーの国営放送は4日、同国最大都市ヤンゴンを3日直撃したサイクロンで死者が350人を超え、住宅数千棟が破壊されたと伝えたと言う。
各地で建物の屋根が吹き飛ばされたり樹木がなぎ倒されるなど壊滅的な被害が発生。電線も切断され、5日現在、各所で停電が続いている。軍事政権はヤンゴン、イラワジ、ペグ、カレン州、モン州の5地区に非常事態宣言を発令。ヤンゴン行きの便は全便欠航となった。
ヤンゴンの国連関係者によると、特にイラワジ・デルタ地区の被害が大きく、村が完全に壊滅したとの報道もある。
国連は5日、被害状況を調べるために要員を派遣する予定。これまでのところ、道路ががれきでふさがれ、電話回線も切断されたため、被害状況は把握できていないと言う。
ヤンゴン住民らは、軍事政権の被害者救済や復旧活動が行き届いていないと不満をあらわにした。ガソリンや食料、建設資材などの価格も急騰しているという。
国外を拠点とする民主化運動団体は4日、軍事政権に対し、国際支援を受け入れ、支援団体による国内での自由な活動を認めるよう訴えた。自然災害対応の国際的ノウハウが緊急に必要だが、軍事政権からの要請がなければ他国からの支援を受け入れることは難しいとしている。
ミャンマーでは10日に新憲法案をめぐる国民投票を控えており、軍事政権の対応次第では、有権者の投票行動に響く可能性もある。