国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は1月31日、スーダン西部ダルフールからの難民を受け入れているチャドのキャンプから、大半のスタッフが撤退したと発表。
反政府勢力と政府軍の衝突、部族間紛争などによる治安悪化を受けた一時的な措置だと言う。
撤退したのは、東部ゲレダで2カ所の難民キャンプを支援していたUNHCR職員4人と、提携組織の現地、外国人スタッフ合わせて28人。約480キロ南西のアベチェに、車で避難したと言う。
UNHCRの報道官によると、ゲレダは「法も秩序もない」状態に陥り、車の乗っ取りなどが続発している。同日までの2日間で、UNHCRや医療援助団体「国境なき医師団」の車計5台が盗まれ、現地事務所の敷地内に武装グループが侵入するといった事件が相次いだ。
同報道官は「地元当局にはスタッフを保護する手段がないと判断し、職員らの安全のために撤退を決めた」と説明している。ただ、難民らに食料や水などを届けるため、必要最小限のスタッフは残留すると言う。
2カ所のキャンプでは、ダルフールの民族紛争を逃れた難民約3万人が生活している。UNHCRは「復帰時期については、今後現地の情勢を見極めたうえで判断する」としている。