パキスタンとアフガニスタンの村落情報収集を目的とした2400万ドルの契約が、スパイ網の運営に転用されていた疑いがあるとして、米国防総省が調査に乗り出した。米軍当局者が明らかにした。
政府と民間の関係者によれば、問題の契約は、地元メディアの報道や公のイベントといった公開情報に限定して情報を集めるのが目的だった。ところが契約先が地元のスパイを雇って特定の人物の居場所や行動を探らせ、その情報が軍当局者に渡って襲撃に利用されていた疑いが浮上したという。軍当局者によれば、公開情報収集のための契約金を、個人を標的とする行動に転用することは禁じられている。
調査の焦点となっているのは、情報収集のための契約を統括している国防総省幹部のマイケル・ファーロン氏。同氏の行動についてCIA内部から告発があったことを受け、国防総省が12月に調査に乗り出した。CNNは同氏に接触しようとしたが、取材に応じてもらえなかった。
問題の契約にかかわったとされる3社のうち1社は、元CNNニュース担当幹部のイーソン・ジョーダン氏が経営する会社。ジョーダン氏はCNNの取材に対し、ファーロン氏が統括する契約に基づいて公開情報の収集にあたっていたと説明、調査には協力していると述べた。
ファーロン氏に近い人物は、同氏は何も過ちを犯していないと述べ、「ただ公開情報を収集し、情報機関が関心を持ちそうだと思えば提供していたに過ぎない」と話している。