国際原子力機関(IAEA)は17日付の報告書草案で、イランが核ミサイル用の弾頭を開発している可能性を初めて指摘した。
イランの核問題をめぐるIAEAの報告書は、昨年末に天野之弥事務局長が就任して以来初めて。IAEA理事会での承認を経て、正式に発表される見通しだ。
CNNが入手した草案によると、報告書は核弾頭開発に対する懸念のほか、同国がIAEAの制止を無視して濃縮度20%のウラン製造を開始したことを指摘。また、中部コム近郊に新設されている核施設の現状にも触れ、ウラン濃縮に使われる遠心分離機はまだ設置されていないとの見方を示した。
さらに、核兵器に転用可能なプルトニウム抽出に向けた重水炉の建設についても、イラン側が国連安全保障理事会からの停止要請に反して続行し、先月の査察で標本採取を拒否したと報告している。
エルバラダイ前事務局長時代の報告書が、イランの過去の活動に対する懸念を強調していたのに対し、今回は同国が現在、安保理決議などに違反している事項を列挙しているのが特徴だ。
ギブズ米大統領報道官は記者団との会見で、この報告書について「イランの無責任さを世界に示している」としたうえで、「われわれは常に、イランが国際的な責任を果たせない場合は、それに応じた結果を招くことになると主張してきた」と述べ、同国への制裁強化を目指す立場をあらためて強調した。