カナダの移民・難民政策に関する独立委員会が今月初め、南アの白人男性が同国内で黒人から迫害を受けたとして申請した難民認定を承認した問題で、カナダの移民省当局者は4日、連邦裁判所に同委の判断の是非を求める考えを示した。
認定については、南ア与党のアフリカ民族会議(ANC)が「差別的な決定。人種差別主義を増長させる判断だ」と強く批判。白人男性が主張する迫害が深刻なものでなかったのなら、今回の難民認定は笑止すべき決定でもあると主張していた。
ジェイソン・ケニー移民相の報道担当は、難民認定は同相やカナダ政府の判断ではないとして、裁判所が同委の見解を撤回させることへの期待を表明した。
南アの白人が黒人からの迫害を受けたとの理由で外国で難民として認められたのは異例とみられる。
弁護士によると、白人男性はカナダに1年以上にわたって不法滞在した後の昨年、難民認定を申請。カナダの地元メディアによると、独立委は南ア当局は黒人による白人男性への迫害を阻止する対応策を適切に打ち出さなかったと判断したという。弁護士によると、白人男性は7度にわたり黒人に襲われ、「移住者」「白人の犬」などの罵詈(ばり)雑言も浴びたという。
南アの白人政権はかつて、
アパルトヘイト(人種隔離)の政策を実施していた。現在では、黒人の就業などが優遇され、白人の不満が強いともされる。南アの人口のうち黒人は約79%、白人は9.6%となっている。