同研究所は国土安全保障省が運営し、運輸保安局(TSA)と協力して爆弾探知技術の向上などに取り組んでいる。スーザン・ハロウェル所長は、その研究を「テロリストとのいたちごっこ」と呼ぶ。「われわれにはかれらのやっていることが分かる。かれらのほうも、こちらのやっていることがある程度分かっている。そのうえで、より良い技術を駆使して対策を練るのが、われわれの仕事だ」
たとえば、軍や国内外の情報機関から得た最新情報に基づき、テロリストが作ろうとしているのと同じ即席爆発装置(IED)を作製する。完成したIEDの一部はメリーランド州にある軍の実験場へ運び、破壊力を確認するために古い航空機の機内に仕掛けて爆発させる。手荷物の中に隠し、空港で使われている検査装置を通過するかどうかを調べる実験も行う。
実験に使われるのは、紛失扱いのまま持ち主が見つかっていない実際の手荷物だ。研究所にはこうした荷物が1万個以上保管されている。そのまま検査装置を通し、誤作動の原因となる品目を洗い出す実験にも使用される。
研究所では今後、医療用の高解像度スキャンの技術を利用して密度や粒子の大きさから爆発物を探知する方法や、爆発性の液体から発生するガスを感知する装置などの開発を進める計画だという。